米国QE3の延長

9月のFOMCで米国のQE3縮小が見送られた。債務上限枠拡大を巡る
大統領と下院共和党の対立で米国政府債務のデフォルト懸念が起こっている。
この混乱の最中にQE3縮小は相場へのダメージが大きすぎることもあった
ようだ。

次期FRB議長がQE肯定派のイエレン副議長で決まったことを考えると、
QE3はかなり延長される可能性が出てきたと思う。
そうなると、債務デフォルトが決着すると、過剰流動性が継続するため、
金融相場が続くだろう。それはバブル化の危険がある。

実体経済の回復が緩慢な状態で、過剰流動性が続くと、金融商品の
価格は需給状態とかい離してくる。つまり、バブル化だ。
雇用・所得は低迷しているにもかかわらず、過剰流動性による価格上昇
が実体経済にも波及すると、スタグフレーションとなる可能性がある。
そこに至ってから引き締めると非常に怖い。

本来は、QE3で支えている間に財政出動して景気回復を加速させる
べきだったのだと思う。QE3縮小前に雇用・所得が回復し、不良債権の
処理が進んでいることがベストのシナリオだったはずだ。

米国マネタリーベースデータ更新のお知らせ

米国の4月のマネタリーベースデータを更新しました。
QE3は予定通りに進行し、前年同月比14.1%増になりました。
ただ、週次データで見ると、2、3月に加速させた増加ペースを4月後半にペースダウン
しました。開始から半年以上経過し、増加ペースを落とす時期かもしれません。
そろそろ米国市場に関しては、金融相場の終了に備える必要がありそうです。

ユーロ・ドルのソロスチャートを更新しました。
このところ、少しユーロ高ドル安傾向になっています。
しかし、QE3の終了が近づくことを考えると、ドル安が続くとは考えにくいところです。
欧州経済は低迷しており、何かキッカケがあれば安全への逃避でドルへ流れる可能性も
あります。
また、信用収縮が発生した場合、ECBの金融緩和再開もあり得ると思います。

掲載場所:定点観測データ集、フォローアップデータ集/米国経済

米国マネタリーベース動向(9月)

QE3の実施後、半月を経過したが、9月の米国マネタリーベースは増加傾向ではなかった。


むしろ、前年同月比は-1.6%で前月より若干低下した。
しかし、QE3による増加はいずれ現れる。そこから金融相場が再スタートを切るだろう。

QE3はMBSに焦点を絞っているので、住宅販売動向、 住宅価格動向に効果が現れるのか注目である。

住宅販売、住宅価格にプラスの影響が出てくると、金融機関の抱える不良債権が減少することになる。そうなると、バランスシート不況の調整が進み、経済の正常化が早まる。

ただし、QE3には副作用があり、プラス効果が出る前に副作用が大きく出てくることも考えておかねばならない。両方のシナリオを考えたポートフォリオにしておくべきだ。