日本の在庫循環データ更新しました

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
先週末に発表された日本・鉱工業生産指数にもとづいて下記データを更新しました。

●定点観測の日本・製造業の在庫循環モメンタム
●フォローマップデータの日本の各種在庫循環モメンタム

日本の在庫循環モメンタムは弱含みの横這いです。しかし、

●在庫前年比は2012年4月にピークを打ち、生産調整が進んでいる
●出荷前年比が2012年11月に底打ちした
●在庫循環モメンタムが2010年2月のピークから2年半以上経過している

ことを考慮し、在庫循環モメンタムは強含みに転換すると見ています。

フォローアップデータの米国マネタリベース週次データについても更新しました。
米国マネタリーベースは前年比プラスに入ってきました。まだ金額的には横這いなので
金融市場に新たな資金が出てきていません。QE2の時は、資金が出てくるのを見込んで
先行して相場が上げましたが、今回は上昇していません。「財政の崖」が心理的重しに
なっているというのが理由にされています。

米国マネタリーベースと日本マーケットデータ更新のお知らせ

定点データ集の米国マネタリーベース(11月)と日本市場の騰落レシオデータ(12/18)を更新しましたので、お知らせいたします。

●米国のマネタリーベースはようやく前年同月比プラスに入ってきました。さらに今後は
金融緩和強化を決定しました。財政の崖に衝突するダメージを軽減するためと思います。
財政の崖のダメージと金融緩和強化がどのように影響してくるのか要注意です。

●日本市場は過熱状態です。ここでの買いは高値掴みになる可能性があります。
しかし、エネルギーはまだあると思います。相場の最後には、一般の人が参加して
来ますが、まだその状況ではないからです。

なぜマネタリーベースに注意するのか?

最近は金融緩和のせいで、マネタリーベースは全員の注目を集めるようになりました。 しかし、投機に回るお金が増えて金融相場になる事が注目されているだけで、不十分な見方だと思います。

お金の流れは次のようになっています。

中央銀行

通貨供給(マネタリーベース)

金融機関→余剰資金→金融市場(金融相場:思惑)

融資:徐々に増加

民間企業・個人=実体経済へ浸透

中央銀行がマネタリーベースを増加させても、すぐに実体経済に流れ込みません。一度、銀行(金融機関)に入り、融資などを通じて、民間企業や個人に貸し付けられ、実体経済に流れていきます。

融資などの貸し付けは徐々に増加するので、当初はお金が余る状況が起こります。この余剰分は金融市場に流れ込みます。金融市場は、思惑による先取りが起こります。そのため余剰分が流れ込む前から金融相場は始まっています

一方、実体経済へは徐々にお金が浸透するので、影響が出てくるのは1年から2年かかります。経済規模の大きい国ほど影響は遅れて出てきます。

金融緩和をしても景気が良くならないと発言する人がいます。これは実体経済の遅行性を意図的に無視しているか、理解していないのだと思います。

欧州危機にもかかわらず、去年から米国景気が割と良かったのは、減税とともに、QE1の効果だと思います。
日本の場合でも、金融緩和を実施すると、平均1年半後に名目GDPが上昇します。 (日銀は金融緩和は効果がないと言ってますが)

前者の金融相場は影響が先取りして出てくるため、多くの人間が見ています。一方、後者の実体経済へは遅れて出てくるため、注目する人は大幅に減ります。
しかし、前者の金融相場には実体経済の裏付けがないため、資金の流入が鈍る可能性が見えてくると急に崩れます。 いわばハリボテ相場です。

むしろ、後者の実体経済への影響こそが本物でしょう。少数派を目指す我々は、それに注目して行動するのが本筋だと思います。
投資では、先手をとることが重要です。マネタリーベースの実体経済に対する影響に注意を払うことは、非常に重要な意味を持っていると思います。