Jトラストの海外事業の損失について

Jトラストが損失を出した韓国の借金事情について
調べてみました。

韓国では、4月から国民幸福基金という制度が開始され、
借金を減免された人が18万人に上っているそうです。

1億ウォン以下の借金を6カ月以上滞納すると、
元金が50%減免され、残りは10年以内に分割返済
するという制度だそうです。
●資産は差し押さえ  ●基礎生活受給者は70%

朴大統領の重点公約だったそうですが、これは
徳政令ですね。この基金がスタートしてから 延滞率が
急上昇しました。

日本にも過払い返還請求という事例がありましたが、
徳政令をやるとは驚きでした。
申請期間は4/1~9/30なので、今回の申請は既に
終了しています。

過去に遡って調べてみて、驚かされました。
この徳政令ですが、大統領選挙の度に行われて
いたからです。

2004年ハンマウム金融、2005年希望モア、
2009年信用回復機金
(5,000万ウォン未満のカード多重債務者が対象)

約5年ごとにつまり大統領選挙の度に元金減免率
30~50%でやって いました。過去にこれだけやれば
棒引きを期待して借金を返済しない人が出てくるのは
当然ですね。

特に、今回は大統領選挙で公約にしたので、
モラルハザードが従来以上に深刻化しました。

Jトラストの想定外だったという話は見方が
甘かったとしか言いようがないですね。

彼らは申請が終了しているので、損失の拡大は
峠を越えていると判断しているようです。

もし、その判断が正しければ、今期には影響しても、
来期はこの損失がなくなる分、業績がUPすること
になります。

ただ、一度崩れたモラルハザードが今後どう影響
するか要注意です。回収率が低下するかもしれません。

また、韓国経済が悪化した場合に不良債権化したり、
徳政令再発などという悪夢も考えられます。

※筆者の個人的な推測が多く入っていますので、
正確さは保証しませんのでご注意ください。

Jトラストのストップ安

7日にJトラストの株価が低迷していることについて投稿をしました。
PBRで見て 割安レベルまで下落しており、M&A資金 を得て
攻めに出られる状態に戻ったと考えたからです。
しかし、甘かったようです。

今日はストップ安で売られました。
パニック売りに なっているので、リバウンドはあるかもしれません。
しかし、 好調な業績で株価が上昇する状況は厳しそうです。

JトラストのHPを閲覧したところ、8日に業績の 大幅下方修正を
発表したことが判りました。これが 今日のストップ安の原因でした。
(投稿した翌日ですね)

消費者金融、クレジットが計画ほど伸びていない事、 買収した
韓国の親愛銀行で貸倒引当金を積み増す ため、大幅に
下方修正するという内容でした。
また、 通期予想を撤回して明らかにしませんでした。

この中で特に問題なのは韓国事業の悪化です。
今後、不良債権が増加する可能性があるからです。

韓国経済が悪化しているので、韓国事業について、
8月末のIRフェアで質問 しました。回答は、利益が出ている
という話で、回収が滞って いるような問題はありませんでした。

その時点で2Qの半ばを過ぎているので、既に韓国の
貸し付け状況の悪化を把握していた可能性があります。
もし、そうならあの説明は問題です。

ただ、こちらも会社の説明を安易に信じたのはいけないですね。
ちゃんと裏付け確認すべきでした。

この大幅な下落で、Jトラストに関しては春の利益を吐き出す
ことになりそうです。

こういった個別リスクに対処するためには、分散投資が必須
ですね。Jトラストでやられても最大でも配分した数%の損失
までです。

もし、Jトラストに全て集中させていたらアウトです。
ストップ安が3日も続けば半分以上飛ばされる危険があります。

今回の件で、裏付けを取ること、分散投資することといった
投資の基本を再確認できました。
(もっともあまり頻繁に再確認したくはないですね)

Jトラストの株価低迷

Jトラストの株価が低迷している。
3月後半から急上昇し、5月半ばまで買われていた。
しかし、ライツオファリングによる増資発表が引き金 となって大幅に下落した。

4、5月頃は株価が高値なのに買い手がいた。
現在は株価が安値にあるのに売り手がいる。
不思議な話だ。

株価ピークの5/13と11/7現在の違いは、

(1)株数が6320万株から11,815万株に増加した
(2)資産が990億円弱(増資で得た資金)増加した
(※決算短信の情報により約976億円に修正)

(3)株価が4,560円(調整前)が1,596円に下落した

ということだ。

これをPBRで見直してみる。
3月末時点の一株 純資産は約1,000円なので、
(※決算短信の情報より1,014円/株)

ピーク株価でのPBRは 4.5倍だ。

現在は増資によって一株純資産は増加している。
単純に3月末の純資産に990億円加わったと仮定すると、
一株純資産は1,400円弱でPBRは1倍強だ。
(※決算短信の情報より1,383円/株)

株価ピーク時の1/4しかない。これは2012年3月時点に
相当する。チャートで見ると、底打ち後の最初の押し目 である。

いくら増資で希薄化したからと言って、そこまで 安いか?

JトラストはM&Aで成長してきた会社である。 M&Aで重要なのは、

①妥当な価格で買収する
②M&A後に統合効果を発揮させる
③M&A資金を持っている

ことだと思う。
これまでの実績で①②については問題ないと思う。
そして、③についてだが、 これは高値だった5月の時点より増資で
資金を手にした現在の方が文句なしに有利だ。

武器弾薬が不足していた5月に買うより、 たっぷりと補給をした
今の方が面白そうなのだが ・・・
マーケットの評価を見る限り、あまり期待されていないらしい。

ライツ・オファリングについて

Jトラストが1,000億円の大型ライツ オファリングを実施して注目を集めています。
ライツ・オファリングはカタカナ用語で判り にくいですが、

「新株予約権を使った株主割当増資(有償)」

です。通常の新株発行増資は、株主かどうかは関係なく、申し込みに当たらないと
新株を買えません。せっかく株主として企業に資金提供をしているのにも関わらず、
外れると新株を発行価格では買えません。市場で株を買い増ししなければ価値の
希薄化を被ります。

その点、株主割当増資は株主に配慮した増資 です。株主は有償ですが増資に
応じることができるので、希薄化を避けられます。

ライツ・オファリングの場合、新株予約権を無償でもらえるため、増資に応じる
資金的な余裕がない場合は予約権を売却して投資資金の一部を回収し、
増資による希薄化を緩和できます。

通常、新株は割安な価格で発行されます。 私には、株主割当増資には応じるのが
得という 感覚があります。
勿論、後ろ向きの増資はダメです。 一方、前向きな増資では、企業の成長に
伴って株価が上昇する可能性があります。成長が期待できる企業の株を割安で
買えるので得というわけです。

新株が発行されると需給の悪化で短期的に下げる ことがあります。
希薄化するということと、新株を取得した投資家が売却することがある
からです。

しかしこれは成長株を安く買うチャンスでもあります。そこで、資金的に
余裕がある場合は、増資を取り、更に下げたところを買うという選択肢は
十分に検討の余地があると思います。

ライツ・オファリングについては、

・増資した資金を有効に生かすことができるのか?
・新株発行価格が妥当な価格か?  (割高はダメ)
・リスクに応じたリターンをどう評価するか?
・自分のポートフォリオの配分内に収まるか?

といった点を検討して対応すべきでしょう。

先日、Jトラストの株主向け説明会に参加 しました。この会社のビジネスモデルは
難しく プロ向きの銘柄です。てっきり、投資のプロが沢山いるかと思って いました。
しかし、極めて雑多な人が聞きに来ていました。 中には、配当増額を要求する
株主がいたのには驚きました。

ライツオファリングを 実施して事業拡大を図るほど資金需要があるということは、
成長ステージに ある企業ということです。そいう企業は下手に配当するより
その資金を活用して事業を拡大 させ、成長を図る方が株主にとってはるかに
良いはずです。

そういう状況を理解していない人がここに投資しているのは驚きです。
最近の株価上昇に釣られて買ったのかもしれません。事業モデル、企業価値を
理解していない人がかなりいるように感じました。

そういう状況で、大型ライツ・オファリングを実施することは大変です。
もっとも成否のカギは個人投資家ではなく、 機関投資家がどれだけ応じるかでしょう。

8割以上が増資に応じれば800億円以上の資金が手に入ります。6割はJトラスト
関係者(社長と取引関係のある地銀等)なので、残り2割を上積みできれば、この
ファイナンスは成功だと思います。機関投資家の過半数が応じればこの数字は
達成できるはずです。その資金をどう活用するのか興味があります。

【ご注意】
この投稿はJトラスト株の売買を勧めているものではありません。
実際に投資する場合は、自己責任において行ってください。